投資を始めるとドルコスト平均法という言葉を度々聞くでしょう。
- とても良い投資法と聞くけど欠点は無いの?
- 毎回同じ金額だけ買っていって必ず儲かるんですか?
- 全体的に購入単価が下げられるんですよね?
ドルコスト平均法について知ってる人は多いですが、メリット、デメリットを含めて、どんな投資に向いているのかまで理解している人は少ないようです。
この記事ではドルコスト平均法の原理、メリット/デメリット、それを踏まえて値動きのある金融商品の長期投資に向いていることを、わかりやすく説明します。
この記事を読むことで
- ドルコスト平均法の原理が分かる
- ドルコスト平均法のメリット/デメリットが分かる
- 投資の種類によるドルコスト平均法の向き/不向きが分かる
ドルコスト平均法の長所を活かした金融商品が分かり、自分の投資手法と照らし合わせて自信を持って取捨選択できるようになります。
積立投信、つみたてNISAなど長期投資に興味がある人は、ぜひご一読ください。
ドルコスト平均法とは?
まずはドルコスト平均法そのものについて説明します。
ドルコスト平均法は定期的に一定額を投資する方法
ドルコスト平均法とは、所有している資金で金融商品を一度に購入するのではなく、定期的に一定額ずつに分けて購入することで平均購入単価を抑える方法です。
株や投信などを毎月一定額購入していくと、価格が高いときには少ない株数/口数で、価格が安いときには多い株数/口数で買い付けることになります。
これにより1株あたり、あるいは1口当たりの平均購入単価を低く平準化することができます。
シミュレーションの例
ドルコスト平均法の効果を簡単な例で説明します。
手持ち資金12万円で現時点で1口10円の投資信託を購入するケースを考えます。
もし1度に購入すれば12万円で1万2,000口購入することができます。
これを毎月1万円ずつ12回に分けて購入するとして、その間に下のような値動きがあると仮定して購入できる口数を算出してみます。
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 5ヶ月目 | 6ヶ月目 | 7ヶ月目 | 8ヶ月目 | 9ヶ月目 | 10ヶ月目 | 11ヶ月目 | 12ヶ月目 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
購入金額 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥120,000 |
価格/口 | ¥10 | ¥12 | ¥13 | ¥11 | ¥9 | ¥7 | ¥5 | ¥7 | ¥9 | ¥10 | ¥11 | ¥12 | |
購入口数 | 1,000 | 833 | 769 | 909 | 1,111 | 1,429 | 2,000 | 1,429 | 1,111 | 1,000 | 909 | 833 | 13,333 |
上のシミュレーションでは同じ12万円で13,333口購入することができました。
平均購入単価は1口9円(12万円÷13,333口)に抑えることができました。
ドルコスト平均法のメリット
上のシミュレーションで見ればメリットは分かると思いますが、あらためてメリットを整理しておきます。
ドルコスト平均法のメリットは下の4つになります。
高値づかみを回避できる
毎回一定の金額で購入を行いますので、たまたま価格が高いタイミングで購入することになっても、その時は少ない株数/口数しか購入しません。
それ以外の価格が高くないタイミングでもっと多くの株数/口数で購入しますので、全期間で平均すれば最も高い時に比べて購入単価が下がります。
上のシミュレーション例では、投資するタイミングを読み間違えて最も高い3ヶ月目の1口13円の時に12万円を投資してしまうと9,230口しか購入できません。
これが高値づかみです。
しかし毎月1万円ずつ投資していくことで13,333口購入できています。
このように購入単価を平準化する効果がありますので、相場を読み間違えて価格が高いタイミングで多く買ってしまう(高値づかみ)を回避することができます。
少額からスタートできる
ドルコスト平均法は定期的に(多くは毎月)少しずつ定額で投資していく方法ですので、最初にまとまった資金を用意する必要がありません。
例えば積立の投資信託を扱っている銀行や証券会社では毎月の最低買付単位を100円~10,000円としているところが多く、少額からスタートできます。
いつでも始められる
ドルコスト平均法は投資開始後に定期的に価格に応じた株数/口数で購入していきますので、購入を開始する時点の相場の動向にはあまり影響されません。
自分が投資を始めたいタイミングでいつでも始められます。
精神的プレッシャーから解放される
一定期間ごとに予め決まっている日に一定額を購入していく投資法なので、相場の動向によって購入日や投資金額を変更することはありません。
よって毎日の価格変動に一喜一憂する必要もなく、精神的なプレッシャーから解放されるメリットがあります。
ドルコスト平均法のデメリット
一方、デメリットは下の3つです。
売却のタイミングによっては損をすることもある
ドルコスト平均法と言えども絶対に損をしないということはありません。
対象の金融商品を、それまで定期的に購入してきた平均購入単価よりも値下がりした時点で売却すると当然ですが損をしてしまいます。
売却のタイミングは気をつける必要があります。
短期投資には不向き
投資対象の金融商品によっては、短期的には価格が上がっていく、または価格が下がっていくのが予測できる場合があるかもしれません。
価格の上昇が予測できるのであれば、価格が一番安い最初の時期にすべての投資資金を使って購入しておくと最も購入単価が低く利益が最大になります。
しかしこれをドルコスト平均法で定期的に一定額ずつ購入していくと、価格がある程度上がってからも購入を続けるように資金を分散します。
したがって一番価格が低い最初に一度に購入した場合に比べて平均購入単価が高くなってしまい、その分、利益が減ってしまいます。
また価格の下降が予測できる場合は、価格が下がりきるまで待って一度に購入するのが最も購入単価を低くする方法です。
しかしこれをドルコスト平均法で定期的に一定額ずつ購入していくと、価格がまだ高い間も購入を続けるように資金を分散します。
よって価格が下がりきったときに一度に購入するよりも平均購入単価が高くなってしまいます。
このようにドルコスト平均法は短期的に価格の上昇または下降が予測できる場合の投資には不向きと言えます。
購入手数料がかさむこともある
ドルコスト平均法では定期的に何回も金融商品を購入し、その度に購入手数料が必要となります。
投資対象の金融商品や利用している金融機関の手数料体系によりますが、その金額よっては負担に感じることもあります。
ドルコスト平均法とは?:まとめ
ドルコスト平均法はどんな投資に向いているのか、ほとんどここまでの説明でお分かりと思います。
価格が上がったり下がったりの値動きがありながらも長期的には価格が上がっていくと見通せる金融商品がドルコスト平均法に向いています。
例えば先進国の経済、世界経済などは時には不況に陥ることがあっても長期的には成長してきています。
ドルコスト平均法はそのようなレンジの長期投資に向いていると言えます。
身近な投資手段としてはドルコスト平均法を前提として長期投資を行う積立投信、つみたてNISA、iDeCoなどがあります。
これらについては別記事で説明していますので参考にしてください。
⇒ 積立投信とは?メリットもデメリットも 万能ではないので気をつけましょう
⇒ つみたてNISA(積立NISA)のメリット・デメリット!注意点もあるので気をつけよう
⇒ iDeCoのメリットとデメリット!税金は得するけど運用次第では目減りも?
なお50代からの資産運用は先ずは安全を第一に検討するのが大事です。
詳しくは下の記事でご確認ください。
⇒ 50代からの資産運用 おすすめは?安全を第一に考えるなら基本は積立の投信
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⇒ ファイナンシャルプランナー資格が自分のためにも役立つ9つのシーン!何級まで取ればいい?