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配偶者居住権は相続税の節税にもなる!覚えておきたい8つのポイント!

配偶者居住権は相続税の節税にもなる!覚えておきたい8つのポイント! お金の基礎知識

2020年4月1日から配偶者居住権が施行されました。

  • 配偶者居住権の名前は聞いたことがある
  • 相続で奥さんが困らないようにする制度でしょう?
  • 相続のときには専門家に聞くから

相続について多少なりとも関心のある年代には、なんとなく知られているようですが、それ以外の人にはまだ他人ごとですね。

ただ配偶者居住権は、その場になってからでは手遅れというケースもありますので、前もってポイントを押さえておくことは大事です。

この記事を読めば

  • 配偶者居住権を設定できる条件(要件)が分かる
  • 家の名義や同居など事前に注意すべきことが分かる
  • 登記や税金など関連するポイントも分かる

配偶者居住権は相続税が節税できる一面もありますし、相続後に遺族間で揉めないためにも、ぜひこの記事で述べる8つのポイントを確認しておいてください。

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配偶者居住権とは

戸建て住宅

まずは配偶者居住権の内容を説明します。

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは亡くなった人(被相続人)の配偶者が、亡くなった人の所有する建物を無償で使用できる権利です。

例えば夫婦のうち亡くなったのが夫だとすると、その奥さんは夫の所有する自宅でずっと暮らすことができるという権利です。

建物を所有する権利(所有権)を、建物を使用する(住む)権利と、その他の権利の2つに分離するイメージです。

相続の際には自宅建物の評価額を配偶者居住権の評価額とその他の所有権(負担付き所有権)に分離して遺産分割の計算を行います。

なお配偶者居住権は被相続人の配偶者だけが取得できる権利ですから、配偶者が亡くなれば配偶者居住権は消滅します。

また配偶者居住権には配偶者短期居住権というものもあります。

こちらは、遺産分割協が決まるまでの間、あるいは自宅が配偶者以外の人の所有に決まった場合に引っ越しできるまでの間など、短期間の権利になります。

この間は暫定的に配偶者は無償で自宅を使うことができます。

配偶者居住権の目的は配偶者の生活を守ること

配偶者居住権の目的は亡くなった人(被相続人)の配偶者の生活を守ることです。

以前は遺産の分割によっては配偶者の生活が困ってしまうケースもありました。

例を挙げて説明します。

  • 夫が亡くなり、相続人は妻と子1人
  • 遺産は自宅(2,000万円)と預貯金3,000万円で計5,000万円

      

法定相続に従えば、妻と子の相続分は1:1なので、妻2,500万円、子2,500万円になります。

妻が自宅に住み続けることを優先すると、下の図のように、妻は自宅(2,000万円)+預貯金500万円、子は預貯金2,500万円になります。

しかし妻としては自宅に住み続けられるのはありがたいとしても、預貯金500万円では今後の生活が不安です。

     

改正前
配偶者居住権の導入前のイメージ

   

預貯金が3,000万円もあるのでこの程度で済みますが、仮に預貯金が1,000万円しかなかった場合は、遺産総額は自宅2,000万円と合わせて3,000万円です。

これを1:1に分割しようとすると自宅を売却しなければならず、妻は住む場所を失ってしまいます

一方、配偶者居住権を取得すれば、自宅の評価額を配偶者居住権の評価額とその他の所有権(負担付き所有権)に分離できます。

配偶者居住権の評価額の算出方法の詳細は省きますが、ここでは仮に自宅建物の所有権を配偶者居住権の評価額1,000万円と負担付き所有権1,000万円に分けられたとします。

すると同じく2,500万円ずつ分けるとしても、妻は自宅に住み続けることができて、さらに1500万円の預貯金も受け取ることができるようになります。

     

改正後
配偶者居住権の設定後のイメージ
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配偶者居住権は相続税の節税にも!ポイント8つ

カメラが趣味の中高年夫婦

配偶者居住権を設定することは相続税の節税になると言われています。

ただそれは被相続人が亡くなり配偶者と子が相続した一次相続ではなく、配偶者が亡くなり子が建物の本来の所有権を得る二次相続です。

このとき配偶者居住権は消滅する、つまり価値はゼロになるので相続税は発生しないのです。

子の立場から見ると、一次相続の時点では建物の一部(負担付き所有権の分)に対してしか相続税を納めていません。

しかし二次相続で相続税を納めずに建物の本来の(全部の)所有権が得られるのです。

このように配偶者にとってありがたい配偶者居住権は相続税の節税にもなりますが、忘れてはいけない大事なポイントが8つあります。

      

配偶者居住権 8つのポイント
  • 相続発生時に自宅に住んでいた配偶者にだけ認められる
  • 配偶者以外の人と共有していたら取得できない
  • 遺産分割協議や遺言で取得する
  • 登記は行うべき
  • 権利の期間は終身が原則
  • 自宅の費用は内容で分担する
  • 敷地利用権には小規模宅地の特例は適用できる
  • 相続税の節税は争いの原因になることも

    

順に見ていきます。

相続発生時に自宅に住んでいた配偶者にだけ認められる

配偶者居住権は亡くなった人(被相続人)の配偶者だけに認められる権利です。

さらに被相続人が亡くなった時点で、対象の建物(自宅)に居住していることが条件になります。

別居して自宅に住んでいなかった配偶者は配偶者居住権を取得できません。

配偶者以外の人と共有していたら取得できない

配偶者居住権は対象の建物(自宅)が被相続人だけの所有、または被相続人と配偶者の共有であることが条件です。

子どもなど、それ以外の人と共有していた場合は配偶者居住権を設定できませんので、事前に変更しておく必要があります。

遺産分割協議や遺言で取得する

配偶者居住権は自動的に取得できるわけではありません。

被相続人の遺言(遺贈)や死因贈与、遺産分割の協議で合意して取得することができます。

あるいは遺産分割がまとまらない場合に家庭裁判所の審判により取得できることもあります。

登記は行うべき

登記は配偶者居住権の取得そのものの必須条件ではありませんが、建物の所有者による売却などを防ぐ(対抗する)ためには登記しておく必要があります。

配偶者居住権の登記は、配偶者と所有者(負担付き所有権)との共同登記になります。

権利の期間は終身が原則

配偶者居住権の存続期間は原則は配偶者が亡くなるまで(終身)で、配偶者が亡くなった時点で配偶者居住権は消滅します。(遺産分割で有期にもできます)

自宅に一生住み続けられるのはメリットですが、配偶者だけが取得できる権利ですから、他の人に譲渡や売却、相続はできません。

ただ配偶者居住権は解除や放棄は認められていますので、長く住み続けている間にお金に困る状況になったら場合は解除や放棄を行ってもよいです。

その場合は、配偶者居住権は配偶者以外の人は利用できないため、配偶者居住権は消滅し、負担付き所有権の所有者が建物を丸ごと所有することになります。

建物の所有者はその時点の配偶者居住権の評価額に見合った対価を配偶者に支払いますが、それは配偶者の譲渡所得として課税対象になります。

逆に所有者が相応の対価を配偶者に支払わなかった場合は、本来の評価額との差額は贈与を受けたものとして贈与税の対象になります。

自宅の費用は内容で分担する

建物に住み続けていればその間に様々な費用が発生します。

これを配偶者と所有者(負担付き所有権)がどのように分担するのか、実は明文化はされてません。

しかし改正法では居住建物の通常の必要費は配偶者が負担することとされていますので、固定資産税や日常の修繕費用などは配偶者の負担と考えられます。

一方、災害などによる大きな修繕やリフォームなどの費用は所有者の負担と考えられます。

敷地利用権にも小規模宅地の特例は適用できる

相続で遺された財産を評価する際に、相続税が高額になりすぎないよう、小規模な土地については評価を下げる「小規模宅地等の評価減の特例」があります。

この特例は土地が対象なので配偶者居住権とは直接は関係ありません。

しかし配偶者居住権を設定した土地の敷地利用権や敷地所有権には特例が適用できますので相続税において不利になることはありません。

相続税の節税は争いの原因になることも

配偶者居住権で相続税を節税できますが注意すべき点もあります。

負担付き所有権を得た子は二次相続で相続税を納めずに建物の本来の(全部の)所有権が得られます。

しかし子が1人ではなく兄弟姉妹がいた場合、自宅の負担付き所有権を相続した子だけが得をする状況となるため争いの原因になりかねません。

相続で配偶者居住権を設定する場合は、その辺りまで見越して事前に調整しておくことが望ましいです。

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配偶者居住権は相続税の節税にも:まとめ

配偶者居住権について相談する女性

配偶者にとってありがたい配偶者居住権は相続税の節税にもなりますが、大事なポイントが8つありました。

    

配偶者居住権 8つのポイント
  • 相続発生時に自宅に住んでいた配偶者にだけ認められる
  • 配偶者以外の人と共有していたら取得できない
  • 遺産分割協議や遺言で取得する
  • 登記は行うべき
  • 権利の期間は終身が原則
  • 自宅の費用は内容で分担する
  • 敷地利用権には小規模宅地の特例は適用できる
  • 相続税の節税は争いの原因になることも

     

なかには事前に関係者間で調整しておいた方が良いものもありますので、もし配偶者居住権が想定されるようでしたら早めに動くことをお薦めします。

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