歌舞伎やコンサート、その他のエンターテインメントの劇場の座席は通常は椅子(イス)席ですが、歌舞伎を催すために造られた劇場には桟敷席(さじきせき)が設けられていることが多いです。
一般の座席よりも少し高級感のある桟敷席ですから、マナーにも気をつけたいですね。
この記事では歌舞伎の桟敷席のマナーについて説明します。
桟敷席を利用する機会があったらぜひ参考にしてください。
歌舞伎の桟敷席とは
桟敷席とは一般席よりも一段高く作られた板敷き、または畳敷きの見物席のことです。
一般に劇場の座席(椅子席)は、とくに前方の座席は舞台よりも低い位置に設置されています。
歌舞伎を演じる代表的な劇場である東京の歌舞伎座も同じで、一般の座席は舞台より低い位置に設置されていますが、1階の桟敷席は舞台と同じ高さに作られています。
なお歌舞伎座では桟敷席は一般席の左右(東西)に、一般席とは直角(横向き)に設置されています。
そして2階の同じ位置にも桟敷席が設置されています。
桟敷席の魅力
歌舞伎座の桟敷席の魅力は主に「役者との近さ」と「リラックス感」です。
役者との近さ
舞台や役者との距離は桟敷席よりも1階の前方の一般席の方が近いです。
しかし上にも書きましたように1階の桟敷席は舞台と同じ高さに作られていますので、観劇する目線の高さが出演している役者たちとほぼ同じになります。
そのため思った以上に役者を近く感じることができ、臨場感や迫力を味わうことができます。
リラックス感
座席がきっちり詰まって並んでいる一般席に比べて、桟敷席はかなりリラックスできる席です。
まず桟敷席に着くには靴を脱いで畳敷きの上に置かれた座椅子に座ります。
座席の足元は掘りごたつ式になっているので足が楽で解放感があります。
目の前に作り付けのテーブルがあって、パンフレットなどを置いて読んだり飲食するにもゆったり快適です。
また桟敷席は2人1組で座る簡易的なボックス席ですが、隣りの人との距離も空いていますので、一般席ほどには気になりません。
さらに自分の後ろには誰も座っていないので、一般席のように観劇のために多少姿勢を変える際に後ろの席の人に気を遣うといった必要がありません。
これは思った以上に自由な気分で気楽です。
歌舞伎の桟敷席のマナー
桟敷席と言っても特別なマナーが決められているわけではなく、一般席と同じように、自分も周囲もリラックスして楽しめるように心がけることが大切です。
ここでは桟敷席にフォーカスしてマナーを説明します。
服装
他の記事でも書きましたが、歌舞伎を観に行く服装に特に決まり(ドレスコード)といったものはありません。
ただし他のお客さんに不快感を与えるような服装は避けて、清潔感のある服装で行くのは最低限のマナーです。
カジュアルな服装でも問題ありませんが、桟敷席では普段よりも少しフォーマル寄り、あるいは和装の人なども見かけます。
周りから浮かないように少し意識した方がよいかも知れません。
なお服装については、下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
⇒ 歌舞伎の観劇の服装!男性はどんな感じ?ジーンズでもOK?
客席への出入り
客席へ出入りするのは、原則として幕間(まくあい:休憩時間)以外はNGです。
この休憩時間以外に出入りすると、他の人の観劇の妨げになってしまうからですね。
ただし桟敷席の場合は自分の席の後ろはカーテンと扉だけで、扉を開けて直接廊下に出られますので、少し融通がききます。
写真撮影や録画
これは当たり前のことですが、写真の撮影や録画は禁止されています。
最近のSNS流行でついうっかりいつもの習慣で撮影してしまいがちですので、意識しおく必要があります。
せっかくだから舞台の写真を撮りたいと思う気持ちは分かりますが、他の方の迷惑になるので絶対にやめておきましょう。
スマホ・携帯電話の扱い
写真撮影や録画の禁止以前にスマホや携帯電話は必ず電源を切っておきます。
上演中はマナーモードのバイブ音もかなりの音量で響くので、全てOFFにします。
飲食
歌舞伎の観劇は4~5時間という長時間のものなので、飲食することができます。
ただ、もちろん客席で食べることになるので、周りに対する配慮が大切です。
音や匂いのする食べ物や飲み物は避けるようにしましょう。
どんな物が相応しいかと言うと「幕の内弁当」を思い浮かべてもらえると分かりやすいです。
実はこの幕の内弁当、その名からも分かる通り、もともとはお芝居の幕間に食べる食事だったのです。
幕の内弁当に入っている物は、一口サイズのおむすびや汁気のない料理などですよね。
バリバリと音がする物や、匂いの強いものは入っていません。
また、袋を開けたり、包装を破ったりする音も意外とよく響きます。
劇場の食堂で予約をしておくと幕間の時間に合わせて料理を準備してくれます。
そして桟敷席まで運んでくれて後片付けもしてくれます。
なお歌舞伎座のお弁当については下の記事で詳しく説明しています。
参考にしてください。
⇒ 歌舞伎座は食事の持ち込みOK?幕間のお弁当も楽しみのひとつ
子供がぐずったときの対応
何かあれば声を出したり音を立ててしまうのが子供です。
言ってもすぐに静かにしてくれない時は廊下やロビーに出るなどして他の観客の邪魔にならないようにします。
桟敷席の場合は、座席から直接廊下に出られますので、その点は助かります。
言い聞かせる効果を上げるために、飴など音の出ない子供のお気に入りおやつを用意しておくと良いですが、上演中は個包装を開ける音にも配慮は欠かせません。
乾燥対策
劇場内は乾燥しがちですので喉が乾き咳をしたくなってしまいますが、これも結構な雑音になってしまいます。
のど飴や飲み物など咳止め対策が必要です。
歌舞伎の桟敷席とマナー:まとめ
歌舞伎座の桟敷席は他の一般席に比べて値段は少し高いですが、役者目線の迫力を味わいながらもゆったりリラックスして歌舞伎を楽しめる席です。
そこにはもちろんマナーもありますが、肝心なことは他のお客さんに不快感を与えないことです。
自分も周囲もリラックスして楽しめるように心がけることが大切ですね。
なお服装については、下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
⇒ 歌舞伎の観劇の服装!男性はどんな感じ?ジーンズでもOK?
また同じく日本伝統の演芸である落語を聴きに行くときの服装やマナーについては下の記事を参考にしてください。