ベートーベンと言えば「第九」というぐらい、第九は私たち日本人に最もなじみの深いクラシックの曲の一つです。
では第九にはどんな意味があるのでしょうか?
実はベートーベンが第九に込めた想いは普遍的な友愛のメッセージだったのです。
ぜひ最後までお読みください。
第九はどんな曲?
「第九」は正式には「交響曲第9番 ニ短調 合唱付き 作品125」と言い、略して「交響曲第9番(合唱付き)」とか単に「第九」とか呼ばれています。
ドイツの作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン(ベートーヴェン)によって作曲された9番目の交響曲です。
毎年12月になると全国各地でコンサートが開かれますが、これは日本だけのことのようです。
ただしクラシックの曲としては圧倒的に人気で、今でも世界中で繰り返し演奏されています。
また欧州連合(EU)では国歌のように扱われています。
ベートーベンさん自身についても興味ある方は別記事も読んでみてください。
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交響曲としての特徴
交響曲は本来は楽器のみで演奏されるものですが、ベートーベンは交響曲に初めて「人の声(合唱)」を加えました。
また交響曲としては非常に長いことでも有名で、多くの交響曲が20~30分程度なのに対して70分もあります。
CDに収められる曲の長さの規格を74分にしたのは第九を1枚に収めるためとも言われています。
合唱は何語で歌う?
第九を最も有名な交響曲にしている特徴である「合唱」はドイツ語で歌います。
ただし後で述べるように、ベートーベンはシラーが作った詩をもとに第九の合唱を作りました。
シラーもベートーベンも18-19世紀の人ということもあって、日本では現代のドイツ語の発音で歌う合唱団と作詞当時の発音で歌う合唱団があります。
例として、第九の合唱の中でも著名な「M」の出だし「Freude, schoner….」(「o」はウムラウト付き)の部分で説明します。
歌詞をカタカナで書いてみると、私も参加した「サントリー 1万人の第九」では「フロイデ, シェーネル….」と古いドイツ語で発音しています。
一方で、以前参加した東京都墨田区の「国技館5000人の第九コンサート」の初心者コースの練習では「フロイデ, シェーナー….」と現代風に発音していました。
第九の歌詞は元々はシラーの詩
第九の合唱の歌詞は、同じくドイツの詩人シラー(※)の「歓喜に寄せて(An die Freude)」という詩をもとに作られています。
※シラー:ヨーハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller:1759年~1805年)
この詩は当時とても有名で多くの人が知っていたようで、ベートーベンも学生時代にこの詩に出会い感激したと言われています。
そしてこれが30年後に第九として世に出ることになります。
なお第九の歌詞はシラーが作った詩だけでなく、その冒頭にベートーベンが下の内容を自作して付け加えています。
ベートーベンが第九に込めた想い
第九は第1楽章から第4楽章までありますが、ベートーベンが第九に込めた想いをはっきりと表現しているのはもちろん第4楽章の「歓喜の歌」です。
1万人の第九では「歓喜の歌」をソリストと合唱団が連携して歌いあげています。
ここではシラーの詩「歓喜に寄せて」を基にした歌詞で、人類が困難を共有し協力して幸福を追求することの重要性を示し「すべての人々が兄弟である」という普遍的な友愛のメッセージを歌っています。
第九はベートーベンの最晩年の作品ですが、人間の友愛と平和という普遍的なテーマを表現していて、芸術的に彼の頂点とされています。
「第九」にはどんな意味が?:まとめ
ベートーベンが作曲した第九は私たち日本人に最もなじみの深いクラシックの曲の一つです。
シンプルで美しくも力強い「歓喜の歌」はとても魅力的ですが、曲が意味する普遍的な友愛のメッセージまで思いを馳せる人は少ないのではないでしょうか。
ぜひベートーベンが込めた想いも意識して第九をお楽しみください。
なおご自身でも歌いたいなら、初心者でも気楽に参加できる「サントリー 1万人の第九」をお勧めします。
⇒ 1万人の第九の服装,参加費,歌唱力レベルなど初めて参加する人は読んでください